芽衣の答えを聞いた男は少し考え込み、何かに納得したようにうなずいた。


『なるほど。
じゃー君はここで一人暮らししてるって訳だ』

「めいです」

『ん?』

「私の名前……君じゃなくて芽衣です。」


少し恥ずかしそうにうつむきながら訴える芽衣に、男は優しい笑顔を向けた。


『芽衣。一人は寂しい?』


いきなりの男の質問に、意味がわからずキョトンとする芽衣。

両親が居ないのは今に始まった事ではないし、今までだって一人でやってきた。

そりゃ小さい頃は一人が寂しく、不安で泣いて過ごした夜もあったのだけれど、高校生にもなればさすがに泣いても意味の無い事だとわかるし、むしろ一人の生活を満喫しているつもりだ。