そんなこんながあったが木崎たちの最後のコンクールがあった。

木崎はずっと指揮する俺を見ていた。
木崎はコンクールで演奏が終わり、舞台袖に戻ると泣き崩れた。
俺は木崎を抱き抱えて外に出た。

木崎、お前の気持ちはわかる。
この1年、学校に来れなくなったり
パートリーダーとして石本とやりづらい思いもあっただろう。

よく、がんばったよ。

基本泣き虫なお前は他のみんなの前では泣かない子だ。
が、人目を憚らず泣いてるお前は今までの糸が切れたんだろう。

『…え?木崎先輩泣いてる?』
後輩が気づき驚いている。
俺は木崎を抱えながら頭を撫でてやるしかできなかった。