一浪して大学に入り家から通っていた。
同じ部活だった同級生のあいつに出会った。

あいつはよく笑う子だった。
だが、家庭が複雑で心に大きな闇を抱えていた。

両親は離婚しお母さんと暮らしていたが
母親の再婚で家を追い出された。

あいつは高校から独り暮らしをしていて
大学の近くにアパートを借りて暮らしていた。
そんなあいつの家に転がり込み同棲を始めた。

家族には大学が忙しいから近くに住む、と同棲することを隠したが。

回りには明るく元気な子だったが
親に捨てられたという意識が強い子だったせいか
気性が激しい子だった。

喧嘩なんかしようものなら包丁を持ち出し
『死んでやるから!』
と自分の喉に包丁を向ける子だった。
夜中に起き出したかと思うとパジャマのまま出ていったことも多々あった。

正直俺も疲れていた。

勿論楽しい思い出もたくさんある。
バイトの給料が出ると二人で安い居酒屋に飲みに行っては少ないつまみを二人で分けて食べては笑ったりしていた。
部活の合宿の時に二人で抜け出し
合宿所の駐車場に寝転がり流れ星を数えたこともあった。

そんな時間を過ごした女だった。

彼女の激しさについていけず
別れた。

俺は二人過ごしたアパートを出て独り暮らしを始めた。