「俺もまだいるよ」
「え……でも……」
「こんな状態の泉、ほっとけるわけないだろ」
翼……。
翼はもう一度優しく微笑むと、あたしの頭を静かに撫でた。
「修平は幸せだよなー……こんなに想ってくれる人がいて」
「翼……?」
「………な、泉」
翼はあたしの頭を撫でる手を止めて、まっすぐあたしの目を見た。
それは今までに見たことがないぐらいに真剣で……なぜか少し苦しそうだった。
「……俺じゃ、ダメ?」
遠くから聞こえる電車の音に混じって……でもはっきりと聞こえた……翼の声。
「俺じゃ……修平の代わりにはなれない?」
一瞬……時が止まった気がした。