修ちゃんと話し終わると、あたしは逃げるようにすぐさまその場を去った。

修ちゃんの前でだけは涙を流すことはできなかったから……。


走って……走って、誰もいない屋上へとたどり着く。


ここなら思いっきり泣ける……。


そう思っていたのに……先客がいた。


「……泉?」


その人はあたしを見つけると、少し不思議そうな顔をした。


「どうした?」


ゆっくりとあたしに近づく……。

見ると安心するその姿に、思わずあたしの涙腺は一気に緩んだ。


「っ……翼……」

「ちょっ……え!?
どうした!?泉!?」


あたしの目から涙がこぼれ落ちると、途端に慌て出すあたしの幼なじみ。

神沢翼。


「え……あ……どうしよ……。
俺、何かした……?」


不安そうにそう尋ねる翼を見て、あたしは首を横に振った。


「っ……違うの……。
翼じゃなくてっ……」

「俺じゃなくて……?
…………あ」


さすがの鈍い翼でも気づいたのか、さっきまで慌ててたのが嘘のように静かになった。