……あたしは静かに近くにあったベンチに腰掛けた。
小田先輩もあたしの隣にそっと座った。
「……翼と顔合わせらんないか」
「……はい」
「まー……分からなくもないけど。
アイツもすげぇタイミングで告ったよな~。
まさか傷心の女の子につけ入るとは……。
でも、それだけいずみんのこと好きなんだよなー、アイツ」
先輩が腕組みをして、うんうんと頷きながらそう言った。
「俺としてはようやく告白したかーって感じでもあるんだけどな」
「ようやく……?」
「翼、ずっといずみんのこと見てたよ。
いずみんは他の人を追いかけてたかもしれないけど、翼はそれでもまっすぐいずみんを見てた。
いやー、あれは泣けたね。マジで」
そうなの……?
そんな、外から見ても分かるぐらい翼は……
「……あたしって鈍いんですかね」
「鈍いね。間違いなく」
「うっ……」
「翼は多分ずっと前からいずみんのことが好きだったんだと思うよ。
俺が翼やいずみんと出会う、ずーっと前から」
ずーっと前……。

