あたしがそこまで話すと、リナは小さくため息をついた。


「あぁ……神沢が不憫すぎて涙が出るわ……」

「えっ……だ、だって……」

「大体、泉は鈍いのよ。
今までたったの一度も神沢の気持ちに気づかなかったわけ?」

「……はい」


だって……そんな風に見たことなかったんだもん。

兄妹みたいに育ってきて、翼はいつもあたしのそばにいてくれて、優しくしてくれて……

翼のことはもちろん好きだけど、その“好き”は家族の“好き”と同じようなもので……


「あたし……どうしたらいいんだろう……」


幼なじみで、友達で、クラスメートで……

そんな翼と前と同じように話せる気がしない……。


「……泉の気持ちも分かるよ。
中田のこと、ずっと好きだったんだもんね。
報われないって分かってるのに……ずっと想ってたんだよね。
そこにいきなり幼なじみが告白してきたら、戸惑うわよね」

「リナ……」

「今はとりあえず、気持ちを落ち着かせなさい。
考えるのはその後でも遅くないから」

「……うん」