そう言ってあたしに見せてくれたヒヨコが、 渡邊先輩の携帯のストラップになっている。 こういうのが気になるのも、全部恋の仕業。 ・・・やっぱり、あの噂は本当だったんだ・・・ 「沙奈?何か真っ青だけど、大丈夫か?」 「え!?う、うん! あたし今日当番なんだった! 先に行くね!」 「お、おい!!」 お兄ちゃんに呼び止められた時には、 もう既にあたしは走り始めていた。 悼矢さんに恋をした。 ずっとその気持ちが分からなくて、 やっとの思いで気づいた恋。 だけど、この恋は苦しくて、切ない―