***
部活が終わり、家に帰ろうとした時、
渡邊に声を掛けられた。
「悼矢!」
「あ・・・渡邊・・・」
「ねぇ、今度の土曜日って空いてる?」
「土曜・・・?何でまた・・・」
「お祭り行こうよ!
土曜日に花火大会があるんだって!」
渡邊はバックにしまってあったチラシを俺に見せた。
祭り、ねぇ・・・
「俺、パ・・・「部の皆で行こうよ!あたし、誘っとくし!」
「あのな「そういうことだから!じゃ、また明日ね!」
話を遮られて言いたい事も言えずに、
去ってしまった渡邊。
乗り気じゃねぇっつの・・・
祭りとか・・・
人混みあんま好きじゃねぇし・・・
というか・・・祭りを誘ってくれた奴が、
渡邊じゃなく、沙奈ちゃんだったら
俺はどう答えていたのだろう。
渡邊と同じように無理と言ってたんかな?
それとも良いよって、言ってたんかな?
馬鹿だな、俺―・・・
俺が望んでいても、沙奈ちゃんが誘ってくれるわけがない。
