涙が次から次へと止めどなく溢れ出る。

「琴葉ちゃん…とりあえず…どこか座って…落ち着こう」

沖本君に促されるまま、近くにあった公園のベンチに座った。

土曜日ということもあってか、家族連れが目立っていた。

「――…はい」

沖本君が缶ジュースと濡れたハンカチを渡してくれた。

「…ありがと…」

それを受け取り、ハンカチを目に当てる。

彼は少し離れたところに立っているようだった。

「……沖本君」

「ん?」

「ごめんね、急に…」

「…少しは落ち着いた?」

「――…うん」

彼が私の隣にそっと腰を下ろす。

「…連れて…こないほうが…よかったかな」

ポツリと呟く。

「そんなことない…。沖本君は私のために教えてくれたんでしょ?」

「…別に…琴葉ちゃんのためってわけじゃ……」

「私は…ホントの龍太を見れて…よかったよ」

「――…じゃあ、なんで泣くの?」

「それは……」

…それはね、どんなに頑張ってもダメなんだって、気がついたからだよ。

「龍太にとって…琴葉ちゃんは特別だって言っただろ?」

「――…そんなことないよ」

そうだよ、そんなはずない…それは、きっと他の誰か…。

「でも、龍太は…琴葉ちゃんに…キス…しようとしてたよね?」

「え?」