「琴葉ちゃん!どうしたの?急に」

足早にその場をあとにしてひたすら駅に向かって歩く。

その間もずっと沖本君が話しかけてくる。

私はそれを無視してひたすら無言で歩いた。

「ちょっ…待って!」

腕を掴まれた。

「―――…琴葉…ちゃん?」

掴まれて、振り向いた私を見て、彼が腕を思わず離す。

「どうして…どうして泣いてるの…」

そう言われて初めて自分の涙に気がついた。

「え…泣いて…る?」


どうして涙が出るの?


哀しいから。


悔しいから。


――…寂しいから。


私が好きならそれでいいと思ってた。

でも――…

もう…無理――…


あの笑顔が私に向けられないのなら



さよならだよね。


龍太―――…