振り向くとそこにいたのは


「え…航…平?」

「うん、久しぶり、琴葉」

「航平!ホントに。――卒業以来?」

「だな!」

目の前の彼はそう言って屈託なく笑う。


懐かしい人―――…。



「…………誰?」

私の頭上で不機嫌な声が響く。


「あ、龍太。中学のときの…ね?同級生…」

「もしかして…琴葉の彼氏?…宮内 航平です。初めまして」

一瞬、戸惑いの表情を見せた航平もすぐに笑顔に戻った。

だけど…

「……竹内です」

龍太はやっぱり面倒臭そうに自分の名前だけ言うとさっさと駅のベンチに座った。

「なんか、お邪魔だった?」

チラッと龍太を見ながら申し訳なさそうに呟く。

「あー…ゴメンね。なんか…さっきから機嫌が悪いの。別に航平のせいじゃないから」

「…ならいいけど…」

だけどなんとなく気まずい。


「あれ?そういえば…なんでこの駅に?」

航平は2駅先の駅までしか利用しないはず。

「あー…うん。俺、実は今週からここの駅前の塾に行くことになったからさ。――…あっ!もう時間がないや」