結局、あのあと沖本君は駅まで送ってくれた。

帰ってからも彼が言った言葉がずっと頭の中を支配していた。

“龍太にとって琴葉ちゃんは特別”

「どういう意味?」

そう聞いてみたけれど、彼は結局それ以上はなにも答えてはくれなかった。

どこをどう見たら“特別”に見えるの?


彼は龍太の友達の中でも、最も龍太の近くにいると言ってもいい。

龍太の別の顔を知り、龍太の他の彼女達の存在も知っているようだった。

―――そんな沖本君が言った一言。


そんなはずはない。

だって…今でも結局、金曜日以外は無視されてるし、“好き”の言葉さえくれない

なのに…


そう思いながらもその夜はなんだか眠れなかった。