「あーゴメン、美央ちゃんね…で?なに?」

面倒臭そうに頭をポリポリ掻いている。

「あ、あの!竹内先輩に一目惚れしたんです!私と付き合って下さい!」

一気に捲し立てるように言うと、俯いて先輩の返事を待った 。

「――…ふーん…美央ちゃんだっけ?…もしかして……あれから俺のこと、ここで見てた…とか?最近妙に視線感じてたんだよね」

「あ、はい…す、すみません。見てました」

「じゃあさ、俺の彼女のことも知ってるってこと?」

「は…い。だから…私を火曜日の…彼女にしてください!」

「――そこまでわかってるんだ…。まあ、火曜日は今はいないし、いいよ?付き合っても」

「ホ、ホントですか?」

顔を上げて先輩を見た。

ゾッとするほどの妖しい瞳。

思わず視線を逸らしてしまった。

そのとき、先輩の手がスーッと私の顎にのびてきて…

そのままグイッと持ち上げれる。

……え?

先輩の顔がゆっくりと近づいてくる。

「ただし…キスはしないよ?」

そう耳元で囁いた。

私が先輩に墜ちた瞬間だった―――。