そして―――映画がクライマックスに差し掛かり、その内容に私は――…

思わず俯いてしまっていた。


ラストシーンで恋人同士だった主役の2人は

夢を追いかけるために別れを決意する。

「……」

見なければよかった――。

そんな思いが、後悔が胸の内に宿る。


繋ぐ手にギュッと力を込める龍太。



もうすぐ行ってしまう龍太。


いつまた会えるかわからない。

不安―――…。


改めて突きつけられる現実。


別れの瞬間は

刻一刻と近づいてきている。


映画館を出てからも手はずっと繋がれたまま。


その手の温もりを感じながらも

この手を離してしまったらもう二度と会えなくなりそうで…。



N.Yに行くことは

龍太のため。

龍太が決めたこと。

わかっているのに―――…。

消えない不安が私を支配し続ける 。