私は知っていた―――…。



龍太がSEIKAの子供だということを。


知ったのは偶然。

だけど、龍太との出会いは必然。

SEIKAの子供だと知っていて近づいた……。



最初は憧れのSEIKAに少しでも近づきたくて。


だけど―――…

龍太に出会って

知って

触れて

溺れて

いつの間にか、木曜日の彼女なんて不本意な位置に収まってしまっていた。



そして知った、金曜日の彼女―戸田 琴葉―の存在。



高校も辞めて突然姿を消した龍太を

私なら捜すのは容易だった。

龍太の実の父親―作本 仁―は私とは遠縁にあたる人。


彼に聞けば龍太の居所なんてすぐわかる。


でも――――

聞かなかった。

―――…聞けなかった。

仁おじさんはそんな私を不思議に思ったに違いない。

だって、私と龍太が付き合ってることを知っていたから。



―――…木曜日だけの彼女だってことは言えなかった。


それだけは私のプライドが許せなかった。


この私が他の彼女と同じ立場だなんて…。


まして…彼の一番が―――。


私じゃないなんて…。