「…琴葉と…付き合ってるの?」

不意に、近くに宮内がいることに気づく。

友達とじゃれあいながらも私達の会話に耳を傾けているのがわかる。


「…付き合ってるの?」

『…ああ…。付き合ってるよ。だけど――――…』


「え?」

もうすぐ離れてしまう。

自分はN.Yに行くことになっている、と。


「そう…琴葉…寂しいだろうね」

チラリと宮内に視線を移すと途端に目が合う。

『―――…泣かれたよ』



そんな辛そうな声も出すこと、あるんだ。

知らなかった。

きっと琴葉があなたを変えた。


「…元気でね、頑張って」

『おー…サンキュ』



電話を切って、宮内に視線を向けるともう私を見てはいなかった。


宮内もまた、胸の中で琴葉への思いを残しながらも

新しい一歩を必死に模索しているのかもしれない。


私もまた―――…

一歩踏み出す。


貴明との

大切な愛を守るため。