「なあ…純菜。今日、家庭教師が来る日じゃなかったっけ」

「あー…」



付き合って2年半―――。


私と貴明は喧嘩をしたこともない。いつだって優しくて、私をなにより大切にしてくれる。

申し分ない彼氏。


私達に別れの危機なんてない、とずっと思っていた。



「あれ、辞めたの」

「へ?そうなんだ。じゃあ、今日から水曜日もゆっくりできるな」

そう言いながら唇を重ねてきた。

「―――…ん」



そう――――…

もう水曜日に会うことはないんだろう。

突然来なくなった連絡。


でも…所詮

私にとって

彼は

浮気相手にすぎない。



なのに―――…


どうして?

なぜ、こんなに

心が揺さぶられるんだろう。


似た人を見かけると、目で追いかけてしまうんだろう。