「龍太…?」

「や、いろいろ無理なこと言ったり…したりして…悪かったなって…」

―――――…まるで別人のような彼に戸惑う。


「アンタ、本当に龍太なの?」

思わずそう聞く私に、龍太が苦笑した。

「俺って…そんなに酷かった?」

「…自覚なかったの?」

「――…いや…」

そう呟いて、視線をコーヒーに落とす。



「なんで?」

「……」

目だけを私に向ける。

「なんで、こんな突然、今さら?」

私にだって、もう新しい生活がある。

突然消えて、また現れて、掻き乱されるのはもうイヤ…。


「――…多分、もう会うことないから…」

「え…」

「だから…最後にちゃんと…けじめつけたかった」

けじめ―――…。

そう、そうなのね。

もう本当にこれが最後なのね。

もう二度と会うことはないのね。


もしもまた出会うことがあったとしても

それはただの偶然になり

もう交わることはない。