私の初恋の話で勝手に盛り上がる家族を尻目に

一旦、リビングを出た。

龍太は和兄に捕まって、なかなか離してもらえないようで

あれは明らかにかなり酔ってるな。可哀想に…。

龍太は当分、私のところには来れそうにない。


――――――…訊きたいことはたくさんあるんだけど。


龍太は一体、いつから私があのときの女の子だって気づいていたんだろう…。

気づいてて…私と付き合ったんだろうか。

もしそうなら…どうして一度、私を突き放したりしたのか…。



少し頭をすっきりさせたくて、雪がしんしんと降り続ける外に出た。


頭の中がごちゃごちゃで混乱していた。


「琴葉ちゃん?」

不意に名前を呼ばれて振り向く。

「あ…えっと」

「クスクス…そんなに困った顔しなくても…」

「ご、ごめんなさい」


「…昔は…えり子おばちゃんって呼んでくれてたのよ?」

優しくふわりと微笑む、柔らかい表情――…。

そんなところはSEIKAにももちろん、龍太にもない。


あの2人の激しさ、みたいなところは…竹内 惣一郎に似たのかな…。

「中に入って…少し話さない?」

彼女は私の肩をそっと抱いて、中へと促した。