龍太のお母さんはニコニコと微笑みながら見つめてくる。

私は曖昧に笑うしかできない。

「――…それじゃ、久しぶりの再会に乾杯でもしましょうか」

―――…久しぶりの再会!?

母の言葉に、私１人が眉を寄せている。

そんな私のことなど全くお構い無しに周囲は乾杯の準備を進めている。

お酒やジュースを注ぎ終えた母が乾杯の音頭をとるらしい…。

「じゃあ――…今日、再びえり子ちゃんや龍太君に会えた―――そんな素敵なプレゼントをしてくれたサンタさんに感謝して――…」

なんなの!?その変なスピーチは！

なのに――…少々涙ぐんでいる母と龍太のお母さん。

――…さすがに龍太は笑いを我慢してるみたいだったけど。

「メリークリスマス！乾杯」

「――…乾杯」

――…私１人がなんだか、蚊帳の外…。


「さあさあ、たくさん食べて下さいね」

「はい、いただきます」

龍太と作本さん、そして和兄は目の前の料理を適当に取って食べ始めた。

「琴葉ちゃん？」

俯いて怪訝な顔をしている私に龍太のお母さんが声をかけた。

「…はい」

顔を上げて、お母さんを見る。

私は一体――…この人とどこで会ったんだろうか…。