「あ、あの、もう1人の人、遅いですね」

視線を外しながら聞いた。

「あー…慎のこと?アイツならなんか急にバイトが入ったから行けないってさっきメールが来た」

携帯を見ながら彼は私の左隣にある椅子に座った。

「そ、そうなんだ…」

そう答えながら私の意識はもう左側に集中していた。

なんだか、左側だけに変な汗を掻いているようにも感じる。

そんな私の思いなど知るはずもない彼は携帯をいじっている。




――――…ちょ、ちょっと待って!?

今、も、もしかして…ふ、2人っきり!?

こ、これは、告白のチャンス!?

そんなことを考えていたら突然

「あのさー…」

彼に声をかけられた

本日二度目のびっくり!

「えっ?」

「名前」

「は?」

「だからー…名前なんていうの?昼休みのとき、聞くの忘れてたからさ」

そういえば…言ってない気がする。

「…あー…名前、戸田です。戸田 琴葉です」

「えっ?…琴…?」

「琴葉です…」