ゆっくりと――…

龍太の心も解けていってほしい。

何度も何度もそう願う。


「――…琴葉」

耳元で囁く龍太の声を聞きながら

抱きしめてくれる腕の中にすっぽりと包まれる。


―――――…


――――…


「あ……この空」

「ん?」

気づけば窓の外に見える景色がオレンジ色に塗り替えられている。


それは…思い出の空。

オレンジ色から藍色に変わろうとしている。


「きれいな夕焼け…」

「…そうだな」


ゆっくりと解けていく。

龍太の心の不安も。


私達の間にあった壁も。


解けていく――…。