「……俺が…そう言わせたようなもんだ…アイツを一番の悪者にしてしまった」

作本さんの表情も龍太と同じように歪んでいく。

「だから…一体、なにが言いたいんだよ!!」

龍太のどこにもぶつけることのできない苛つき。

そんな龍太を受け止めたかった。

ただ、必死に龍太にしがみついていた。龍太の心が壊れてしまわないように…祈ることしかできないけれど――…。



「お前が…聖香のお腹にいると知ったとき、最初…俺は戸惑った。俺もまだ20歳だったし…おまけに学生で…。
だけどな、聖香は産みたいって…。
――…好きな人の……俺の子供を産みたいって…そう言ったんだ」

「―――…好きな…人…だと?」

龍太が目を大きく開きながら作本さんを睨む。

「…ああ」

そんな龍太の視線を受け止めながら、またソファーに腰を下ろす作本さん。



「じゃあ…――」

―――…龍太。


「じゃあ!!なんで今俺はアイツの子供じゃないんだ!!」


―――…初めて見る。

龍太の涙だった―――。