「彼女が時々、寂しげな表情をすることがあった…。
普段はなかなか気づかないことでも…ファインダーを通してみていれば…わからないことも…時には見えてくることがある」

――…私はカメラに関しては完全に素人だから、そういうのはよくわからない。

だけど…この人は聖香さんのことを本気で―――――…。

「……だから？なにが言いたい？アイツが俺を捨てたのは事実だ」

―――龍太。


「龍太。お前の生い立ちが複雑なように…聖香の場合も…かなり複雑だ」

…そうだ…ＳＥＩＫＡは確か…愛人の子だっていう噂だ。

「……フッ…悪魔の一族…か」

そう言いながら表情をさらに歪ませる。

悪魔―――。

「悪魔の一族か…確かにそうかもな。聖香はそんな中でずっと日蔭で生きてきた。
だからこそ、モデルという仕事で自分の存在を世間に示したかったのかもしれない…周囲の男達にもな。たとえ、それが毎日違う男であろうと…」

自分自身の存在価値――…。

龍太も…自分の出生を――…運命を呪いながらも自分の存在する意味、価値をずっと探してもがいていたのかもしれない。

それが――初恋の人であり、曜日の違う彼女達だったのかもしれない。

「彼女のそんな寂しさに気がついて…あの強気な発言もその裏返しだと…気づいた」