「おーい、航平。お前は歌わないの?」

クラス会の場所を提供してくれた森本 輝がマイクを持ったままやってきた。

「いや、俺は歌はな…ちょっと…」

「幹事だろーが!なんか歌えよ。ほらっ!行くぞ」

輝は無理やり航平を前に連れていってしまった。

すると、それを待っていたかのように何人かの女子が私のところへ駆け寄ってきた。


「琴葉ちゃーん。さっきから宮内といい雰囲気じゃな~い?」

「そうそう。もしかしてまた付き合っちゃう?」

「は?…まさか、それはないよ。もう別れてから2年近く経つし、今さらだよ」

「でもさ、宮内って琴葉と別れてからずっと、彼女いないよ?」

「え…そう…なんだ」


「そうそう、高校でもけっこうモテるのにね、全部断ってるって話だよ。それって…ねぇ?」

「うんうん!琴葉に未練ありあり?みたいな」

さも楽しそうに話す彼女達。


航平が?まさか…

中学を卒業してからは一度も連絡を取ってなかったし、あのときが卒業以来の再会だったわけで…今さら未練があるかも、なんて言われても…

「……でも、私…好きな人いるし…」

「それって彼氏?」