「相変わらず冷たいのね。」

「冷たい?優しいって評判だよ。」

「誰にでもね……。」

「誰にでもってわけじゃないよ。」

「本当の自分を見せない。
人間って愛した人の本当の姿を知りたいと思うわ。
でもあなたは見せない……
そこに踏み込もうとするのを嫌うの。
冷たい人……。」

朝陽さんは何も言わなかった。

「あなたに嫌われたくない
失いたくないから 女たちはチーム員になる。」

「チーム員ってハーレムみたいだな。」

「チーム員はみんな言うわ。
あなたは冷たい人だって……
踏み込まれるのを嫌がるから 
本当のあなたを怖くて知れないって……」

「美香ちゃん?」

「美香だけじゃないわ。
エリサもだし……元妻に相談するなって……」

真澄さんは朝陽さんの横に立って一緒に
空を眺める。

「私は妻になって母になったから
特別な地位にいるらしいわ。」

「なんだ。俺がずいぶん遊び人みたいだな。」

朝陽さんが笑った。

「あなたはこれからも
誰も愛さないの?」

「愛しすぎてこれ以上は無理だよ。」

「ボランティアじゃなくて……本当の愛よ。」

「たぶん めんどくさい……な
もうそういうの。」

冷たい朝陽さんが一瞬出現したけど

「寒くないか?」カーティガンを脱いで
真澄さんにそっとかけてあげた。