司が頬をゴシゴシ拭きながら降りてきた。

「あ!!!」
思わず指をさした。

キスマークだらけ
吹き出してしまった。

「うるさい!!!勝手に部屋に入りやがって!!!
あのくそババァ!!!」

浴室に飛び込んで行った。


微妙な時期の思春期モードな
司だからそう簡単には受け入れないんだろ。


二人はなかなか降りてこなくて
私は気になって仕方がなかった。

自分の部屋に行くようにして階段を上ったけど
静かだった。

屋上のドアが少し開いていたから
恐る恐る覗いてみると

真澄さんが朝陽さんの背中にしがみついていた。


朝陽さんは空を見ているようだった。
息をのんで集中する。


「やんなっちゃった……。」甘えた声

「自分で選んだ道だろ?」優しい声

「だって……世代交代だもんね
仕事も少なくなってきたし これからどうしよう
家庭に戻ろうかしら。」

「何言ってんだか~」
朝陽さんは その言葉に微動だにしない。

「俺はこれからも一人がいいよ~」

「縛られたくないんでしょ?」

「そんなとこ。」

大人の会話はよくわからない。