ショッピングモールへ出かけた。
使う道なく貯まっていたお金をもって
化粧品コーナーへ行く。


美容部員はすっぴんの私に気がついて
すぐにやってきた。

「何をお探しですか?」

「綺麗になりたいんです。」

「それならまずは・・・・・」

おねえさんは綺麗な人だった。
指先まで見とれるほどだった。

「綺麗ですね・・・・。」
思わず言葉にした。

「ありがとう~~この仕事してるので
気をつけないといけなことがたくさんで
美しくいることも毎日の努力なんですよ。」

「毎日の・・・・・」

おねえさんから日々のお手入れの話を
聞きながらそう高額ではない化粧品一式
最低限のメイク品を選んでもらった。

「若いからそんなに高いものじゃなくても
大丈夫だから……続けて買えるのが
大切ね。綺麗でいたいなら努力惜しまず。」

努力惜しまずか……

鏡の中で私が変わって行くのがわかった。
おねえさんから指導を受けながら
初めてのメイクを終えて
自分が自分じゃないのに驚いた。

「ベースがいいからどんな感じにも
変われるから 今回はナチュラルだけど
大人系とかいろいろテクニックはあるから
いつでも寄って。」

おねえさんと同じ色のマニキュアまで
つけてもらった。