「安西星子の娘の 夕日と言います。
瀬崎 朝陽さんは いらっしゃいますか?」

「安西…星子……?」

そう返事が戻ってきて無言になった。


「ん?」
どうしたんだろ。
まずかったのかな・・・・・。

そう思っていると ドアの鍵が開く音がして

白いニットのセーターの腕が見えた。



「あ……あの……瀬崎さん……?」

顔をあげると


母よりずっと若くて そして素敵なおじさんだった。


「星子さんの娘さん?」


「はい 夕日と言います。
母が 瀬崎さんに会ってきてって言ったもので……。」


だから何?
そう言われたらなんて答えたらいいんだろ。


「星子さんに似てるね。」

優しい声だった。

それがほめ言葉だと思わなかったのは
母はオシャレもしない人だったから……

「母の遺言だったんです。
自分の代わりに 会いに行ってきてって・・・・。」


おかあさん……
おかあさんにはホントに王子様だよ……。

いい香りがした。