そのまま部屋に戻って 本を読んでいたら
部屋がノックされた。

朝陽さんだ


笑顔でドアを開けると 真澄さんだった。


「ねぇ 誰だと思ったの?
そんな笑顔で迎え入れる 
ここを訪れる人がいるの?」

「あ いえ……」

弁解の言葉が見つからない。

「予想通りね……。」
冷たくて綺麗な笑顔だった。

「大人を……惑わす小悪魔登場か……。」

真澄さんが 怖い顔になった。
多分 私と朝陽さんのことに気づいている。


「すごい魔力なのね。
美しさや華やかさは 彼の取り巻きの方が
何百倍も上なのに……ただ
あの人の面影があるだけで
彼の心をとり込んでいる……。」

「え?」

「母から受け継がれた怨念なのかしら
司と変わらない子供のあなたが……
朝陽を惑わしていくのは……。」

「真澄さん?どういう意味ですか?」

「あなたのおかあさんは
朝陽をたぶらかして 夢中にさせて
裏切ってボロボロにして 逃げたのよ。」

「言ってる意味が………」


真澄さんの迫力と
その言葉の意味を知ることの
緊張感で体が震えだしていた。