朝陽さんが目覚める頃に合わせて
パンを焼いていた。

パンのいい香りが部屋に広がった。

屋上の菜園からとってきた
ミニトマトやレタスも新鮮で
美しい色を出していた。


朝陽さんのためにもっともっと輝いて……


インターフォンが鳴った。
朝陽さんの部屋


慌ててとる。

「悪いんだけど 城田くんが来たら
一緒に事務所に言って 書類もらってきてくれないかな。」

「え?」

「書類ちょっと見当たらなくてさ
城田くんにお願いしようと思ったら
もう近くまで来てるって言うんだよね。
帰りも送ってくれるように頼んだから 書類
もらってきてくれる?」

朝陽さんの頼みごとって珍しい。

「はい。わかりました。」


数分後 城田さんがやってきた。

「先生から聞いてます。
どうぞ のってください。」

助手席のドアをあけてくれた。


朝陽さん以外の男の人の隣に乗るのは初めてだった。

「これ 原稿です。」

「はい 助かりました~
よく間に合いましたね。」

城田さんは真面目そうな人で いつも
朝陽さんにからかわれている。

「さすが 秘書さんが優秀だからかな~」

車が動き出した。