「あっ…。あったよね。そんな事」
確か、あれは去年の春の話だわ。
「それで名前見てれば、忘れたくても忘れられないだろ?萌が覚えてる様に、向こうも覚えてるよ」
「私は今思い出したの。覚えてたんじゃないもん。それより雅貴。さっき、“お前”って呼んだよね?」
「えっ!?」
「いつもは名前で呼ぶのに、そんなに動揺してるの?」
覗き込む様に見上げると、雅貴は恥ずかしそうな顔をした。
「からかうなよ」
「からかうよ。10歳も上の雅貴に勝つなんて、そうそうないから」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…