ガラスの靴をもう一度



麻生さんは、ニューヨーク支社への赴任が決まり、来月にはやって来る。

私自身は、直接話しをする事はなかったけれど、雅貴は麻生さんと話しをしたみたいだった。

その内容を教えてくれようとしたけれど、私の方から断ったのだった。

もう雅貴を信じているし、何より今日、こうして永遠の愛を誓ったのだもの。

知る必要なんてない。

目の前にいる雅貴を、信じるだけ。

それだけで、いいんだ。

もしかすると、この先もヤキモチを妬いたり、ケンカをする事もあるかもしれない。

だけど、もう大丈夫。

私には、解けない魔法がかかってるから。

雅貴がかけてくれた、永遠の魔法が…。

「あ、そうだ」

教会を出る間際、ふと雅貴の足が止まった。

「どうしたの?」

「今の内に」

「えっ?」

と思った瞬間、雅貴の唇が重なった。

「まだ当分、二人きりにはなれないから、今キスしておく」

「うん…」

背伸びをし、雅貴のキスに応えた。