ガラスの靴をもう一度



「そうなんだけど、やっぱり萌が見えないと心配でさ」

雅貴はそう言うと、私の左手薬指にキスをした。

「雅貴も見せて!」

半ば強引に雅貴の左手薬指を眺める。

私たちの永遠の証の指輪。

そのお揃いのプラチナリングが光っている。

シンプルなデザインで、私の物にだけ、中央に小さなダイヤがついていた。

「本当に、結婚したんだ…。私たち」

「そうだよ。といっても、本当に籍を入れるのはこれからだけど」

「うん。嬉しい…。お父さんも、喜んでたよ」

「うちもだよ。オヤジさんの側に、必ず帰れる様にするからな」

雅貴はそう言って、私の手を取った。

「お父さん、気にしないでいいって言ってたよ。自由な時間を謳歌するって」

二人でゆっくり歩きながら、私たちは笑い合った。

「それにしても萌、本当に綺麗だよ。ウエディングドレス、似合ってる」

「ありがとう。雅貴も、惚れ直しちゃった」