「ごめんね。そんなに心配かけちゃった?」
その問いに、雅貴より崇史さんが答えたのだった。
それも、楽しそうに。
「そうだよ。萌ちゃんに逃げられたんじゃないかって、真面目に心配してたから」
「おい!」
今度は雅貴が顔を赤くして、崇史さんを睨んでいる。
その崇史さんはと言うと、原田さんがウエルカムドリンクとして持っていたワイングラスを取り上げ、口に入れていた。
「ラブラブなんですねぇ、社長」
原田さんも楽しそうに、雅貴を茶化している。
ますます顔を赤らめた雅貴の横で、私も反撃に出た。
「え~?でも、崇史さんと原田さんには負けますよ。何せ、“ただいまのチュー”なんて、私たちはしませんから」
意地悪く言うと、崇史さんがワインを吹き出した。
「ちょっと、崇史汚いじゃない!」
「だ、だって…」
慌てる崇史さんに、私は大笑い。
雅貴はというと、いまいち意味が分からないのかキョトンとしている。

