雅貴の気持ちを、間違えたりしない。
「ああ。俺も、もっと萌に話すよ。不安な思いをさせないように、もっと…」
そっと頬に触れてくれた雅貴は、そのまま唇も重ねてきた。
そして、すぐに離すと、思い出した様に言ったのだった。
「そういえば、支社の方では、川上が婚約者を連れて来るって噂になってたぞ?」
「ええ~!?やっぱり?」
「やっぱりって?」
「川上くん、言ってたの。同期の子に、私の話をしてしまったみたいで、噂が大きくなってるみたいだって」
頭を抱えていたわ。
すると、雅貴も困った様な顔をした。
「そっか…。こればかりは、俺からフォローは出来ないけど」
「そうよね」
何せ、こんな事があったばかりなのに、雅貴と川上くんは、また同じ支社で働くんだもの。

