ガラスの靴をもう一度



「そうか。そうだったんだな」

バルコニーで、夕焼け空を眺めながら、雅貴は話しに聞きいっていた。

時折、夏の涼しい風が吹く中で、何かを考える様に、雅貴は遠くを見つめている。

「何を考えているの?」

雅貴の腕に少しだけ触れ、顔を見上げる様に聞いてみた。

麻生さんの話は、きっと衝撃的だったに違いない。

思い返せば返すほど、腹は立ってくるけれど、雅貴が好きだった人。

ありのまま、事実だけを伝えたのだった。

「優花を、そんな風にさせたのは俺の責任だと思う」

ポツリと呟く様に、雅貴はそう言った。