川上くんには、雅貴との関係を包み隠さず話したのだった。
それだけ、私も彼に対して真剣だったし、雅貴から航空券が送られてきた時も、本当は使わないつもりだったのだ。
だけど、川上くんはお見通しだった。
私が雅貴を忘れきれていないのも、忘れられる存在でない事も…。
「萌ちゃんの心の中から、社長が消える事はない。だからこそ、俺からさようならするよ」
川上くんは、私にそう言ったのだった。
そして、こうも言った。
「忘れようとすればするほど、思い出から抜け出せないなら、それは萌ちゃんにとって、かけがえのない人だって証拠だよ」
と。
そして、雅貴に会いに行く後押しをしてくれたのだった。
あんなに傷つけたのに、最後の最後まで優しくて、ニューヨーク行きの飛行機に乗る時も、見送りに来てくれた。
「萌ちゃん、またニューヨークで会おうね!その時は、萌ちゃんより好きになれる子を見つけるから」
その言葉を最後に、私は川上くんとさようならをしたのだった。

