ガラスの靴をもう一度



気が付けば、陽は傾きかけていて、空はオレンジ色に変わっていた。

「もう、夕方なんだ」

ベッドの中で雅貴と二人、乱れた呼吸を整えていた。

綺麗な夕方の空…。

幸せを感じながら顔だけ窓に向けると、その顔を雅貴は自分の方へと向け直したのだった。

「ほら、萌。俺を見ろって」

「どうしたの、雅貴?なんだか子供みたい」

思わず笑った私に、雅貴も笑った。

「オッサンと思われるよりはいいか」

「何よ、それ」

さらに笑った私を、雅貴は優しく見つめる。

「やっぱり、萌の笑顔に癒されるよ。萌は、笑っていた方がいい」

「雅貴…」

恥ずかしさと嬉しさと、そして雅貴への溢れる愛おしさで、私は言葉が続かなかった。

「その笑顔、これからはずっと、俺に向けてくれるだろ?」

「うん…。ちゃんと川上くんとは、話し合ってきたから」

そして私は、雅貴に一番大事な話しをした。

川上くんの話と、麻生さんの話を全て…。