ガラスの靴をもう一度



離れてしまった心を取り戻すなんて、そう簡単な事ではなかったんだな。

呆然としながら、ベンチへ戻り座り込んだ。

力が抜けるとは、この事だ。

「何だか急に、やる気が無くなったな」

大きくため息を一つ。

さて、これからどうするか。

帰ろうにも、帰る気力もない。

明日から、どうするか。

会議に会議に会議…。

毎日詰まってる会議を、どうやってやりこなそう。

そして何より、二週間後にやって来る川上に、どういう顔が向けられる?

あいつの隣に萌がいるのに…。

きっと、幸せそうに笑ってるんだろうな。

その萌に、俺はどんな顔を見せられるのだろう。

両手を握り締め拳を作り、うなだれる俺は、ハタから見ても情けないだろうな。

萌と、本当にさようならなのか…。

そう思った時、冷たいものが手に落ちた。

「情けな…」

そう、自然と涙がこぼれていたのだった。