ガラスの靴をもう一度



13時15分―。

東京からの飛行機は、無事ニューヨークへ着いた。

はやる胸を抑えて、俺は入国者が入ってくるドアへ向かった。

入国審査を受けて、荷物を探して…。

ここへ来るのは、もう少し後か…。

緊張する。

人生最大に最高の緊張感だ。

口の中も乾いてきた頃、ぞろぞろと入国者がやって来た。

さすが東京からの便だけあって、大半が日本人。

それも、ツアー観光客が大多数だった。

萌は?

人混みの中から、その姿を探すけれど、見つからない。

俺は迎えに行くと、手紙に書いておいた。

だから、もし萌がいれば、向こうも俺を探すはず…。

「どこだよ、萌」

団体が一通り過ぎ去り、個人観光客らしきグループも出てきた。

だけど、いくら待てど、萌の姿はない。

そのうち、入ってくる人もいなくなってしまった。

「これが、萌の返事か…」

この場所に、俺の待つ場所に、萌はやって来なかった…。