ガラスの靴をもう一度



「かなり、期待されているんですよね?彼は…」

「そうだな。きっと、坂下のライバルになるよ」

そう言うと、坂下は闘争心むきだしの目をした。

熱くなるタイプだからな。

川上の赴任は、きっといい刺激になるはずだ。

「頑張ります!それはそうと、川上って恋人同伴らしいじゃないですか」

その言葉に、不覚にもドキッとした。

「そ、そうなのか?」

「はい。確か婚約者だとか」

「婚約者!?」

思わず声を大きくした俺に、坂下は目を丸くした。

あいつら、いつの間に婚約を…。

いや、ただの噂かもしれないじゃないか。

だけど、本当かもしれない…。

「ボス?どうかしましたか?」

ボーッとした俺に、坂下は怪訝な顔を向けた。

「いや、何でもない。頑張れよ坂下。期待してる」

「はい!頑張ります!」

坂下は気合い十分に答えると、戻って行ったのだった。