「じゃあ、問題ないだろ？俺と萌は、ただの幼なじみってだけだ」
「いや、それが、かなり二人とも動揺してたから」
「そっか。でも、お前が気にする事じゃないよ。萌はもう仕事を辞めるわけだし、二人の事は二人の問題だから」
そう言い切ると、再び資料に目を落とした。
川上が赴任してくるのは、あと二週間後。
噂では、恋人を連れてくると言われているから、やっぱり萌はあいつを選んだのか…。
「いよいよ、明日だな。萌ちゃんがここへ来るのは」
「それは分からないよ。一度だって連絡はないし」
「素っ気ないんだな」
「今は仕事中だ。そんな事を考えてる暇はないだろ？」
おいおい、何を言ってんだよ俺。
緊張もしてるし、動揺もしてる。
こういう立場でなければ、仕事なんて放り出したいくらいだ。
