一粒、一粒、涙は落ちてゆく。
その涙を、雅貴は指でそっと拭ってくれた。
「優花と別れてから、やる気もない俺に、萌はたった一つの希望だった。変わらず慕ってくれる萌が、孤独感を全部吹き飛ばしてくれたんだよ」
「だけど私、ずっと雅貴の気持ちを疑ってた。麻生さんへの想いが、今でもあると思ってて…」
そう言うと、雅貴は小さくため息をついた。
「そう思わせたのは俺だもんな。小さかった萌が、見違えるほど女の子になっていて、こんな側に大事な人がいたんだって、それに気が付いた。そうしたら、もう萌に恋せずにはいられなかったんだよ」

