ガラスの靴をもう一度



それから葉山さんは、何も言わず私を見送ってくれた。

きっと、事情は悟ったのだろうけど、何も言わないでいてくれたんだと思う。

そして、何もかもが誤解だと分かった時、思いもよらぬニュースが飛び込んできた。

それは、ニューヨーク支社の立て直しの為、雅貴が日本を離れるというものだった。

川上くんの赴任より半月早く、ニューヨーク支社へ行く事になったのだった。

本当の意味で、雅貴と離れる時が来てしまったんだと思う…。

きちんと話が出来ないまま、そして雅貴は私の気持ちを誤解したまま、私たちは離れ離れになる。