役員って事は、会社の経営にも携わるって事。

それだけ麻生さんは、雅貴から信頼されていて、必要とされてるんだ。

それなのに私は、ただ無視をされただけ。

分かっていたはずなのに。

雅貴は、私を信じてくれていないって。

だいたい、あの靴を壊したと思う時点で、全然私を信用していなかったのが分かる。

少しくらいは疑ってくれなかったの?

“萌が、そんな事をするはずない”って…。

ため息混じりに、川上くんのデスクへ目を向ける。

きちんとおさめられた椅子に、整頓されたデスクを見ていると泣きたくなる。

あれから一度も戻ってこない…。

雅貴に報告を終えてから、また出て行ったのかな。

どれほど驚いただろう…。

早く、ちゃんと説明しなくちゃ。