今度は私がゆっくりと振り向くと、息を切らせた川上くんが立っている。
「どうして、川上くんが…?」
「俺は、得意先での報告に来たんだけど、萌ちゃんこそ。さっきの会話は、どういう事なんだよ?何で、社長にあんな言い方…」
聞かれていた!?
ただこの場所にいるだけなら、何とか誤魔化し様もあったのに…。
社長に対してタメ口な挙げ句、力になりたいとか、普通に聞けば違和感でいっぱいだ。
川上くんの不審そうな眼差しに、すっかり体がすくんでしまった。
すると、その場にいた崇史さんが、口を開いたのだった。
「そんなに、心配そうな顔しなくていいですよ。実は、二人はただの幼なじみなんです。だから、あんな言い方をしただけで」

