ガラスの靴をもう一度



そんな対応に追われる中、広報部の女子社員が、たまたま部長に会いにやって来た。

おそらく、情報共有の為だろうけど、「社長が…」の言葉に耳が反応してしまった。

「かなりお疲れみたいで、ゆうべは会社に泊まり込みされたみたいです」

「だろうな…。かなり責任追及されるだろうし、株主への説明もあるしな…」

雅貴が、そんなに大変だなんて…。

どうして、こういう時に何も出来ないんだろう。

もどかしい。

「花井ちゃん、これ共有しといて」

部長はさっそく、一枚の資料を手渡しに来た。

「はい…」

現在の対応方法が書かれた紙だ。

これも、雅貴が考えたのかな…。

「それにしても花井ちゃん、仕事辞めるの正解かもな」

「え?」

「不謹慎な言い方だが、せっかく業績が良かったのに、大ダメージだ。しばらくは、厳しい試練が待ってそうだから」

部長はため息混じりにそう言うと、デスクへ戻り対応を再開させた。