ガラスの靴をもう一度



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社内に鳴り響く電話のベル。

関係各所から送られてくるFAXの山。

そして、メディアからの取材。

いつも騒々しいオフィスだけれど、今日は異様なまでに殺伐としている。

「ですから、その件につきましては、ただいま調査中でして…」

「申し訳ありませんが、今の時点ではお応えできません」

電話を切れば鳴り、また出れば対応に追われ…。

「もう、クタクタ。今朝からずっとよ」

うんざりする様に、原田さんは深いため息をついている。

「原田さん…、どうなるんですかね。会社…」

青ざめる私に、原田さんは弱々しく首を振った。

「分からないわよ…」

泣きそうな原田さんに、対応に追われ憔悴しきった部長。

今、会社は最大のピンチに陥っている。

それは、ニューヨーク支社が管轄している新車で、故障による事故が数件発生してしまったからだった。